16世紀の刀剣類です。一番左の大剣はクレイモアと呼ばれ、平均的な長さは柄も含めて1.4メートル、重さは2.5キロほどです。典型的な両手剣で、日本刀がだいたい1.5キロくらいなので、かなり重めですが、柄の先に球状の重りがつき、案外に振り回しやすいそうです。2番目、4番目はもち手を守るバスケットと呼ばれるガードがついています。3番目はやはり両手剣ですが、クラムシェル(アサリの貝殻)型のガードが付いています。
中世以来のクレイモアでの戦闘は、両手剣ですので剣一本での攻守となりますが、近世のハイランダーの伝統的な剣術は、盾の裏にダークと呼ばれる短剣を隠し持った使った二刀流と言われています。利き手にバスケット付きの長剣、反対の腕に盾を構え、手には大振りなナイフを持ち、剣で攻め、隙を突いてナイフで手傷を負わせるというものです。
博物館2階、3階は近世スコットランドを扱ったScotland Transformed(変わるスコットランド)の展示ですが、変わるというより激動の時代と言った方が適切かもしれません。宗教改革、同君連合、ジャコバイトの蜂起が起きた時代の品々が展示されています。
18世紀の銃砲です。上は当時の典型的なフリントロック式、火打石(flint)をネジ止めしたクラシックな様式です。別の場所には角笛型の火薬入れもたくさん展示されていました。
下は大砲に装てんする薬きょう(breech-chamber)です。昔の大砲というと、先込めをイメージしますが、元込めの大砲は14世紀ごろには発明されていて、ビールマグのような容器に火薬を詰め、大砲の根本に弾丸とともに装てんして使っていました。
ヴァージナル(virginal)と呼ばれる鍵盤楽器、チェンバロの一種です。ルネッサンス後期~バロック初期に人気のあった楽器で、同種の楽器の中でもシンプルな構造で、弦は単線で横に張られています。
15世紀中盤~16世紀中盤の作で、恐らくスコットランド製と考えられています。
古い教会の祭壇と説教壇です。保管状態も良く、美しい彫刻が施されています。幅はそれほどではありませんが、高さがあり、これが収められていた建物のサイズはかなり大きかったのではないかと思います。
背が高く2フロアでも収まらないので、上の階の天上を越えた展示となっています。
National Museum of Scotland